2009年3月31日火曜日

パンプローナのフィッシングナイフ (2009)

ちょっと古い話ですが・・・、2006年晩秋のことです。
何度目かのスペイン旅行でパンプローナに宿泊した際、オスタル(安ホテル)の、同じならびにある刃物屋さんでナイフを買いました。

何気なく通りに面したガラスのショーケースを見ていたらちょっと気になるものが・・・。
奥でグラインダーをまわして刃物を研いでいるらしい(音が聞こえるのですが姿が見えないので)、店の人に声をかけるとでっぷりとした人の良さそうなおじさんが出てきました。

「おじさん、このナイフ直接見てみたいのだけど。」

「いいよ、今鍵を開けるからどうぞ。」





魚釣り用のナイフで、プリースト(僧侶の意)という釣った魚を〆るカナヅチのようなオモリがついています。
これで釣った魚の頭をポカリとやって一撃で苦しまずにあの世へ旅立っていただくためのものです。 以前、ドイツのゾーリンゲンで作られた同じタイプのナイフを日本で見たことがありますが、それは2万円以上していました。

「おじさん、これいくら?」

「ちょっと待って。覚えていないからカタログで探すから。」

2,3分経って奥から戻ってきたおじさんは「シエントディエス・エウロ。」

110ユーロです。
日本で見た物よりは安いけれど16000円以上(当時の為替相場による)です。
このまま買っても良いのだけれど、なんとなく明らかに売れ残りっぽいし、今後これを買いそうな人がいるとは思えないように思います(笑)。
そこで相談。

「うぅぅん、欲しいけれどちょっと高いよ。もうちょっとバラート(安く)にできない?」

おじさんもほかに買う人もいないだろうと判断したのか「それじゃ、ちょうど100でどうだい」と即答。

「バーレ(OK)。買うよ。」 と、100ユーロ(およそ15000円)で購入したのでした。

もちろん僕の買い物としては安くないのだけれど、カード使えたし、魚をモチーフにした形も良いし、ウロコ模様が滑り止めになっているし、ずっしりした重さも気に入ったし、よく見るとプリーストの部分にメジャーも収納されているし・・・まぁ一目ぼれ。(笑)

僕は釣った魚はキャッチ・アンド・リリースすることが多いですが、それでもたまに食べてみたくなることがあります。
いつか、今度は春がいいな、もう一度パンプローナを訪れてヘミングウェイが釣ったマスの子孫を釣る旅をしてみたい。
そのときはこの魚型のナイフでパンサイズのブラウントラウトをポカリとやって、生ハムを載せた「ナバラ風」で食してみたい!

こんな想像が新たに出来ただけでもナイフ買った意味があるってもんよ!


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オスタルに戻って部屋でニヤニヤしながらナイフをいじっていると(あぶないな、笑)、刃の付け根に「STAINLESS ITALY」と、さらにメジャーの部分には「W.Germany」と刻印されていました。

各国から寄せ集めた材料で作られているのは良いとして、「W.Germany」はないだろう! ドイツの東西統一ってたしか1990年だよねぇ。 新品なのに20年以上前の代物ってことなのか!?

この辺もはっきり言って僕好みです(笑)。

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 " Coto de Pesca " つまり “フィッシング・エリア”を示す看板。

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