2003年12月31日水曜日

ジョージが教えてくれた (2003)


ジョージがおしえてくれた。

スウェーデンはパラディス(Paradis)だ。
***

昨年(2001)から歩き始めたスペイン・サンチアゴ巡礼の道“エル・カミーノ・デ・サンチアゴ(El Camino de Santiago)”に今年もまた出掛けた。
11月に、2週間のバケーションで11日間のトレッキング。

今年は昨年の終着ログローニョからレオンまでの300km強が行程となった。
来年3週間の休みが取れれば、レオンからサンチアゴまでの残りの区間を歩くことができるから、3年計画の旅も終焉と言うことになるだろう。(*注:実際には4年かかった。)

リオハ・ワインの産地ログローニョから途中のフロミスタまでの距離を、フランス人巡礼者のジョージとは抜きつ抜かれつしながら共に歩き、同じ巡礼宿に泊まり、何度か食事も共にした。
彼は巨大なザックの中に自分のオリーブオイルまで準備していて少々驚いたけれど、聞けば本場フランスのキュゼ(シェフ)だと言うから納得。
煮込み料理やパテなども実に手軽に、鮮やかに、しなやかに調理をしていて、僕は妻と共に彼の仕草にうっとりと眺め入った。
彼はキュゼとしての誇り(?)のためか、フランス語以外は簡単な英単語しか話さなかった。
したがって当然僕らの会話(らしきもの)は大袈裟な身振り手振りを交えたものとなるのが常だった。
***


その夜はフロミスタのアルベルゲ(巡礼宿)の近くにあるバル(Bar)でオランダ人のマルティンも交えて夕食を共にした。 
それまでの、なかなか伝わらない会話から、僕らが急に意思の疎通を図れるようになったのは、妻が身振りを交えて英語でこう入った直後からだった。

“彼(僕)はロコ・フィッシャーマン(釣りキチ)なのよ。 今日もカミーノ(巡礼路)で橋を幾つか越えたでしょ。 その度に川の写真ばかり撮ってるの。。”

ウィ? 本当に? フィッシング?
俺もロコ・フィッシャーだよ。 何? いろんな魚釣ってるんだって?
スウェーデンは行ったか?
あそこは俺たち(ロコ・フィッシャーマン)にとって本当のパラディスだ!
もし行くなら5月、6月、9月、10月が良い。
特に良いのは5月と6月だ。
1日のうち20時間くらい太陽が出ているからずっと釣りができるぞ。

ブロシュ(パイク)なら156cmのを釣ったし、サルモニダ(サーモン)は112cmだ!
俺はフライで釣ったんだけど、バッキングまでぶっ飛んじゃって、魚と一緒に川岸を走り回ったよ!!

どちらかと言えば、今まではクールを装って話に相槌を打つ程度の彼だったけれど、僕の目の色から興奮を読み取った彼の話はもう止まらない。
声のトーンは上がる一方。

なんだって? フランスはどうかって?
もちろん釣れるさ!
ホラ、コレがフランスだ。
こう国があるだろ(紙のテーブルクロスにボールペンを走らせながら)、ココが1番良い。
サルモニダには最高だ!
2番目はココで、3番目はコッチ。
まぁ何と言ってもサルモニダならココだよ!
フランスに来ることがあったら是非一声掛けてくれ、一緒に釣ろう!

日本でもサルモニダやトルーチャ(トラウト)はいるけれど、とても君の話のような大物は無理だよ。
それに日本にはブロシュ(パイク)は棲んでいないんだ。
ブラック・バスなら盛んだけど。。

あぁぁ、ブラック・バス! 彼らも素晴らしい! ポッパーで釣ってるかい?
ロッドでこうピョンピョンピョンとやると突然ガヴァ! そしてジャンプジャンプジャ~ンプ!
俺はブロシュもポッパーでやるんだ。
なんたってコレが1番面白い!

フライで、ポッパーで、1.5mのパイク・・・信じられないくらい興奮するんだろうね。

もちろん!
ちなみにロッドは、ルーミスを3本、セージを2本持ってるぜ。
ファースト・アクションで硬いから良く飛ぶんだ。

僕の道具はほとんど古いABUばかりだよ。
それに君の国のミッチェルも幾つか持ってる。

ABU!?、スウェーデンじゃないか!
***
彼はもちろん、全てをフランス語でしゃべりまくった。
僕が知っているフランス語といえば“メルシー”と“コマンタレヴー”の2つだけだから、僕はスペイン語で話した。 
それでも僕らの会話はほぼ完璧に理解しあえたと思う。
釣人同士の会話なんてそういうもんだ。

ジョージのスケッチ ; フランスの地図。 ポイントの解説。 彼の大好きなポッパー。

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