ABU社のハイロー Hi-Lo は不思議な魅力のあるルアーです。
写真左はABU社がガルシア社(米国)を吸収合併した後、 Abu Garcia社を名乗るようになってからの製品。 写真右は合併前のABU社による製品。やはり古い方に魅かれます。 |
開高健著『フィッシュ・オン』より |
ただし、僕個人的にはそれほど優れたルアーだとは思えないところがあります。
確かにリップの角度によって潜行深度が変わると言うのは画期的なのですが、ルアーの動きそのものは非常に悪いですネ(苦笑)。
恐らくメーカーとしても、その動きの悪さを何とかしたかったからだと思うのですが、ボディを2分割したジョイントタイプもラインナップに加えられました。
ルアーのお腹に書いてあるメーカーロゴもなかなか興味深く思います。
下の写真の一番左はABUの文字が山形加工されていますから、同社が「Record」ブランドを併用していた頃(1960年代)のものでしょうか。
2番目は文字の並びは一緒ですが、山形加工がなくなっています。
ベイトリールで言うと恐らくサイドカップの形状が波型から角型(山形)に変わった頃(1970年代前半)だと思います。
3番目はSweden patentが省かれています。
特許期間が切れたのか、それとも製造国が変わったのか?あるいは単に文字数を減らしてコストカットを狙ったのか?
一番右の4番目になると、確か1990年代に買い求めたものだったと思うのですが、ABU Garcia社になってからの台湾製モデルです。
左から右へと新しいタイプになっています。 ロゴの変遷も興味深いですネ。 |
ちなみにABU社のタックルは対象魚に応じて1~4のタックルグレード(強度)が設けられているのですが、ハイローはその内の「ABU2」、「ABU3」となっています。
ちなみに下に紹介したカタログのABU2の一番上に「gadda」と記載されていますが、これは「パイク Northern Pike(カワカマス)」を意味しています。
スウェーデン語版のカタログ "Napp Och Nytt 73" p94-95. |
先の開高氏の著書に紹介されている通り、ABU社としてもパイク用ルアーとして勧めていたことがわかります。
ひょっとしたら開高氏に「パイクを釣るならコレだ」と紹介したのはABU社のグスタフスン氏その人だったのかもしれませんね。
もちろん僕の想像ですが。
スウェーデン語版のカタログ "Napp Och Nytt 73" p96-97. |
ABU社のビンテージタックルについては兎角リールが論じられることが多いのですが、ルアーもなかなか複雑な迷宮具合を誇っています。
ガルシア社合併以降、ABU社の主力製品は北米で人気のバスフィッシング用品となっていきますが、もともとは本国スウェーデンを含む北欧でのサーモンやトラウト、パイクなどに対するものが多かったのだと思います。
その意味では日本には輸入されなかったタックルや、また輸入されはしたもののどうやって使ったらよいのか分からないものも多かったようです。
最近メバル釣りなどで使われることもあるアイスジグなど、当時は使用目的がなかったのではないでしょうか?
今後、あまり表に出てくることのないABUルアーも僕なりの視点で紹介したいと思います。
今だにこんなタックルで釣りをするのが大好きです! なんて言うか、釣れても釣れなくてもワクワクします(笑)。 |
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