2016年6月22日水曜日

センターピンリールとフロートフィッシング

センターピンリールをご存知ですか?
一見フライリールのような、いわゆるシングルアクションの太鼓型リールなのですが欧米では今でも人気のあるコースフィッシング(エサ釣り)用リールです。

カナダ在住の親友なべちゃんのトラウトフィッシングスタイル。
ヌードルロッド+センターピンリールでビッグワン!?

欧米で人気と書きましたが、それぞれの地域では若干の違いがあって、ヨーロッパでは主にコイ科の魚を釣る伝統的なコースフィッシングとして用いられているのに対し、北米では西海岸を中心にしたトラウトフィッシングのエサ釣り用「先鋭」タックルとして人気があります。
ヨーロッパのコンサバティブなスタイルが、例にもれずアメリカでフリースタイル化したと言えるかもしれません。

僕自身もこの釣り方には興味があって、あえてオールドタックルを用いて霞ヶ浦でキャットフィッシュを釣ったり、コ式をセットしてパワフルなカープフィッシングを楽しんできましたが、今回は北米のトラウトフィッシングについてご紹介したいと思います。

トラウトリバーではあるけれど、大地の起伏が大きくないため
割と平坦な流れが多い。

簡単にタックルの紹介をすると、まずリールは前述のセンターピンリール。
普通ギア比はフライリール同様1:1で、フライリールとの違いはクラッチをオフにしてフリースプールにする機能がついている点です。

このセンターピンリールをセットするロッドはかつて日本でも流行ったことのある(?)スピニングリール用のロングロッドで「ヌードルロッド」などと呼ばれるものです。
一般的なルアーロッドとは異なり、10フィート以上、12~13フィートほどが多いように思います。

カーブの外側、流れが深くなるところは必ずチェック。

リグ(仕掛け)は各人各種様々なタイプを試行錯誤しているようですが一般的なものはスプリットショット(ガン玉)をいくつか付けたフロートリグ(浮き釣り仕掛け)です。
浮きの形も色々ありますが、日本のトウガラシ浮きに近いものが一般的です。
これにエサ、もしくはトラウト用ワームを用いて流れの中を探る釣り方です。

流れに浮かぶフロート。

フロートリグのトラウトフィッシングは北米の多くの人が楽しんでいるようですが、センターピンリールを使うのはいわゆる「凝った」人たちに多く、ビギナーにはやはりスピニングリールが好まれるようです。

倒木で一休みしつつ、上流側のポイントを視察。

僕自身が経験したのは、2014年夏、カナダ・オンタリオ州のとあるトラウトリバーにおいてでしたが、そこはトラウトが釣れるとは言っても日本の一般的な渓流というよりは、オイカワ釣りの方が似合いそうな「清流」といった趣きの川でした。
逆に言うと、だからこそ「脈釣り」でなく「浮き釣り(フロートリグ)」が好まれているのかもしれませんね。

日本でも試してみようとお土産に購入した現地タックル。
透明プラスチック製トウガラシ浮きとトラウトワーム。

トラウト用ワームが用いられると書きましたが、これがまた面白いところです。
現地では様々なタイプのトラウト用ワームが売られていますが、この川で実績が高いのはバークレーのバブルガムワームで、カラーは圧倒的にピンクが良いとのこと。
このワームは、長い一本の紐状のものがとぐろを巻くようにでパッケージされていて、自分で好きなサイズに切って使うことができます。
大体2インチ(5cm)くらいにカットして使うことが多いようです。

倒木脇のバブルラインに沿って仕掛けを流す。

もちろん人によってはミミズやリーチ(ヒル)、イクラ、マゴット(サシ)などのエサを使う人もいるとのことです。
ローカルショップを覗くと、エサの種類も豊富で楽しいですよ。個人的に最も驚いたのはマゴットで、これはアイスフィッシングでパーチやクラッピーを釣るときに人気のエサですが日本のサシよりも数倍大きく、かつ着色されたものも豊富です。中にはグローカラーなんて言うものもあります!

この川は水中の障害物が少ないので、倒木の枝にさえ
気を付ければほとんど根がかりすることはありません。

あとはポイントも釣り方も川での一般的な流し釣り同様です。
あまり浅く早い瀬は向いていませんが、瀬の吐き出しから淵、トロ場などの流れはもちろん、倒木や岩回り、岸際の障害物などを丹念に探ります。


そしてこの「センターピンリール+フロートリグ」の最大の特徴は、リールからラインを出してどんどん下流まで探り続けることができる点です。
もちろん川の状況にもよりますが、我々が一般的に想起する延べ竿を用いた浮き釣り(または脈釣り)の最大の弱点である探る範囲の狭さを一気に解消してポイントを「点」で探る釣りから流れの「線」として広範囲に探る釣りを可能としています。

蛇足ですが、このようにリールから糸を出して広く下流まで探る釣り方は「トロッティング trotting」と呼ばれ、ヨーロッパのコースフィッシングの主要な釣り方の一つでもあります。


もちろんリールを使う利点はそれだけではありませんね。
不意の大物、それも50cmや60cmと言ったサイズがザラなお国柄ですから、リールを最大限に活用してライトラインでスリリングなやり取りを楽しむことができるでしょう。


僕がこの釣り方にトライした夏の時期はもう大物は下ってしまった後で、20cmそこそこの少年サイズや、クリークチャブが流れる浮きを消し込んだのみでした。

とは言ってもこのクリークチャブ、日本にはいない魚ですし、何よりオールド・アメリカン・ルアーのファンならば名前にピン!ときますよね。
ほうほう、これがあのルアーメーカーの名前のもとになった魚なのか、と感慨もひとしおでした(笑)。

ピンクのバブルガムワームに食いついたクリークチャブ。
大きさが違いますが、姿かたちはカワムツに似ています。

このオンタリオ州界隈では、トラウトフィッシングの最大のシーズンは春のスプリングラン(産卵に伴う遡上)のシーズンで、雪解けが入って水量が倍増するその川にビッグトラウトが大挙して押し寄せるそうです。
すると川のあちこちでセンターピンを付けたヌードルロッドが弧を描いてビッグトラウトとのファイトが演じられるのだとか。

これは春のシーズンになべちゃんが釣ったビッグレインボー!

羨ましいですね。
現地在住の親友からは何度となくお誘いの便りをいただくのですが、なかなかタイミングが合わずまだ経験できていません。
いつかそういう釣りを楽しみたいものだなぁ。

なべちゃんの釣り仲間。
ビギナーでもこの通り、だとか。

ん、ちょっと待てよ。
大物釣りは僕には縁がないとしても、トラウトのフロートリグ・フィッシングならいつもフライフィッシングをしている川でもできるじゃないか。
いやむしろ、ホームの里川は夏になるとブッシュに覆われて川へのエントリーすら困難になるから、ブッシュの切れ間からロッドを出してフロートリグを流し込むような釣りこそ最適なのかもしれないぞ。

このアイディア、早いところ実践に移そう! ⇒ 早速トライしてみました♪

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